花粉症の原因植物

花粉症を引き起こす植物は60種以上が報告されている。報告されていないものも含めればさらに多いであろうということは容易に想像できる。

春先に大量に飛散するスギの花粉が原因であるものが多いが、ヒノキ科、ブタクサ、マツ、イネ科、ヨモギなど他の植物の花粉によるアレルギーを持つ人も多くいる。

とくにスギ花粉症患者の7〜8割程度はヒノキ花粉にも反応する(よって、スギ・ヒノキ花粉症と呼んだほうがよいとの指摘もある)。また、「イネ科」と総称されることからもわかるとおり、その花粉症の患者は個別の植物ではなくいくつかのイネ科植物の花粉に反応することが知られている(○○科と総称されるのは光学顕微鏡による肉眼観察では区別がつかないためでもある)。これらは花粉に含まれているアレルゲンがきわめて類似なため、交差反応を起こしているからである(個別の花粉アレルゲンに重複感作されている場合ももちろん考えられる)。

スギの少ない北海道ではスギ花粉症は少なく、イネ科やシラカバ(シラカンバ)による花粉症が多いなど、地域差もある。中国地方、ことに六甲山周辺において、大量に植樹されたオオバヤシャブシによる花粉症が地域の社会問題になったこともある。北陸の稲作が盛んな地域では、他地域よりもハンノキ花粉症が多い(シラカバ、ハンノキ、ヤシャブシ、オバヤシャブシなどは口腔アレルギー症候群をおこしやすい)。

アメリカではブタクサ、ヨーロッパではイネ科の花粉症が多い。北欧ではシラカバ等カバノキ科の花粉症が多い。

花粉症の原因となる植物は、風に花粉を乗せて飛ばす風媒花が一般的であるが、職業性の花粉症にみられるように、その花粉を大量かつ長期にわたって吸い込んでいれば、どんな植物の花粉でも花粉症になり得ると考えられている。職業性の花粉症は果樹の人工受粉に従事する人など栽培農家によくみられるが、華道家が発症した例もある。

2〜4月はスギ、さらに少し症状が続くようならヒノキ(およびヒノキ科)も疑ったほうがよい。初夏から夏(または秋)は各種のイネ科植物(とくにカモガヤ、オオアワガエリ、ホソムギ等の帰化植物。秋は主に在来種の開花時期だがあまり大きな問題とはなっていない)、秋はブタクサやオオブタクサ(クワモドキ)、ヨモギなどが多いが、地域や年によって飛散時期や量は異なる。スギにおいては、夏の間に大量につぼみつけた年は、晩秋にも症状をひきおこすだけの花粉が飛散することもあるのが確認されている(それが多い場合は、翌年は大飛散となる)。早春期、スギに先駆けて花粉を飛ばすハンノキなどもあり、早期に症状が出る場合、地域によってはこれを疑ってみる必要があるかもしれない。北海道のシラカバは5月に最盛期となる。

なお、セイタカアワダチソウ(セイタカアキノキリンソウ)の俗名がブタクサということもあり、ごく一部で混乱が生じている。実際、過去に花粉症の原因植物と言われたこともあったが、セイタカアワダチソウは虫媒花のため、原則的には花粉は飛ばさない。ただし、大群落を作ることが多く、こぼれた花粉が周辺に飛散してしまうことはある。花粉症の原因にもなり得る。同じキク科のため、ブタクサやヨモギ等の花粉症の人は注意が必要である。

大群落という点では、果樹園や田畑の周辺に居住する人も要注意であるが、日本人の主食となっている米をとるイネは、意外にも花粉症の原因になることは少ない。開花期が早朝でごく短く、水田で栽培されるためである。

これらの原因花粉をつきとめるためにはアレルゲンの検査が必要であるが、身近にその植物があれば患者自身でもわかりやすい。花粉の観測を行っている施設は多いが、そのかなりはスギ・ヒノキの飛散期間のみであり、通年で行っていたとしても、ほとんどはビルの屋上などに装置を設置しているため、草花花粉についての正しい飛散情報は得ることがむずかしい。また、飛散範囲が局地的であることも、草花花粉の飛散情報を得るのが難しい原因となっている。

患者レベルにおいては、季節が移って飛散花粉の種類が異なると症状の出方も異なるということがよくいわれる。しかしながら、それぞれの植物によりアレルゲン性の高さが異なるのは事実だが、症状が強く出る部位が異なるなどのことが本当かどうかは調べられていない。
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